小さいころ、新しいノートを買ってもらうと嬉しすぎて緊張し、なかなか使い始めることができませんでした。
肩に力が入っているものだから、いざペンを執ると自分の名前ですら間違えたり、なんかちょっと歪んだり。
そしたらもう辛くて、一転して見るのも嫌になってしまう。
子どもながら、このまま大きくなったら大変だぞ、と思ったかどうかは覚えていませんが、悲しいかな今でも新しいものが少し苦手です。
でも、そうそう緊張していられない。
いつからか開き直ったことで、ものとの付き合いがずいぶん変わりました。
そう。直せばいい。
ちょっとセンシティブぶって書きましたが、要は昔から落ち着きがないのです。
字は間違う。物は壊す。服は汚す。歩けば転び、走ればぶつかる。
注意力や空間把握能力を鍛えるよりは、直す方法を模索するほうが気が楽でした。
転ばぬ先の杖はたとえ電車に置き忘れても、転んだ先にはマットがあることを知っている安心感。
直すのが楽しくなってくれば、もう怖いものはありません。
もし似たような方がいらっしゃれば——きっとたくさんいらっしゃると思うのですが——、心の底からおすすめします。
直せばいいのです。
取れなかった染みを水玉で隠すの巻。