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個人的な秋の年中行事のひとつに、糸車の手入れがあります。
普段はしまい込んでいる糸車を拭いてワックスがけするだけですが、木の乾燥対策としても、出したついでに使ってみようという気になる度からしても、寒くなりはじめが頃合いだと決めています。
今年も手入れを済ませ、今週から久々に糸紡ぎを始めました。

 

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もこもこ太い双糸と、細い単糸。どちらも綿です。
何になるかはまた今度。

 

糸紡ぎは、編み物の次に付き合いの長い糸仕事かもしれません。
あるとき友人にスピンドルでの糸紡ぎを教えてもらい、押入れを圧迫していた古布団の中身が使える=押入れが空く、という動機でわたを引っぱり出しつつ紡いでいました。
でも糸が作れるという驚きと、親指と人差し指の間からするすると糸が生まれ出てくる感覚が癖になってしまい、スピンドルを回す右手首が腱鞘炎になってもサポーターを巻いて続けていたほど。

その後運よく熊本の古い糸車を購入することができ、インターネットと図書館と電話を駆使してパーツを作り、調整し、回し、調整し…の日々。
見かねた前述の友人が和棉収穫から布に仕立てるまでのワークショップ参加券をプレゼントしてくれて、ようやくまともに糸車を操作できるようになりました。
習うより慣れる、が基本姿勢ではありますが、習ってからは慣れるのが早かった。
以前少し触れた織作家さんと、ワークショップでお世話になった鴨川和棉農園さんがいらっしゃらなければ、挫折していたと思います。
本当にありがたいことに、それからは手首を痛めることもなくゆるやかに、へたくそながらも糸紡ぎを続けてきました。

編むにも縫うにも結ぶにも糸は必要で、糸を通してこれまでいろんな人に出会い、繋がってこられたような気がします。
私にとって糸紡ぎはそれを思い出し確認するという時間でもあるのだと、糸車のハンドルをくるくる回しながら思いました。

今紡いでいるのは、100年近く実家に眠っていた布団の打ち直し用の綿。
なんだか布団の中身ばかり紡いでいるようです。