tagottoのこと

テグスと手ぐすね

風鈴が好きです。
我が家には3つの風鈴があって、ひとつは地元で買ったガラス製、もうひとつは東京で買ったこれまたガラス製。

最後のひとつは京都で買ったインドの真鍮製。

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まあ、カウベルですよね。
カウベルだったのですが、まったく使わないので去年無理やり風鈴にしました。
木製の舌に穴を空けてテグスを通し、いただいた封筒を切ってワックス処理して作った短冊を付けました。
なかなか趣のある音がごく稀にしか鳴らないので、集合住宅にはもってこいです。

ところでふと思い立って調べたのですが、「テグス」と「手ぐすね」はまったく関係ありません。
薬煉(くすね)とは弓の弦に強度を増すために塗る松ヤニのことでした。
メジャーリーガーもバットに塗ってます、滑り止めとして。
でも私が「手ぐすね引いて待ってるね」という言い回しをするときに思い浮かべるのは、糸状のものをピーッとやる必殺仕事人的仕草でした。
完璧に「てぐす」という音に引っ張られてますね。
ちなみに中条きよしが使う三味線糸もテグスももとは絹糸のことなので、正しく一致しています。
無駄に。

ひとつ賢くなったところで。

風鈴の短冊、というイメージで作ったピアス&イヤリング「NEIRO」。
もちろん、巻いているのは絹糸です。

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サンプルケース

・遮光性があること
・軽量であること
・多少のクッション性があること
・蓋がしっかり閉まること
・華美でないこと

箇条書きにしてみるとまるで学生鞄にまつわる規定のようですが、これはtagottoのサンプルを持ち歩くためのケースに求める条件です。
かなりラフな条件だと思うのですが、探してみるとなかなかないものです。

探してみるとなかなかないものっていくつもあって、例えばU字型便座カバーやキッチンマット。
セットにするのはどうかと思う例えで申し訳ないのですが、実際にこのふたつはずっと探していました。
便座カバーは、U字型のトイレ自体が絶滅危惧種なうえ、あれ、なんなんすかね。
3回ほど洗濯するだけでモケモケになるでしょう、便座カバーって。
両手に持っていた便座カバーと毛玉取り器を交互に見つめ、えいっと放り投げて「よし作ろう」と思いまして、編んだり縫ったりしたこともあります。
編むのは労力のわりに…という感じですが、古いセーターやスウェット(の右手~襟ぐり~左手部分)を切って袖口を縫い、襟ぐりにバネホックか何かを付ける、というアイデアは我ながらイカすと思いました。
結論としては毛玉を取るほうが楽ですが。

キッチンマットは、世に出回っているものがとにかく立派。大きかったり毛足が長かったり。
単純にシンク前の床板を濡らしたくないだけなので、滑らないバスタオルくらいのスペックでよかったのですが、探してみるとやっぱりなかなかない。
こちらも仕方がないので作りました。
蚊帳生地とバスタオルと滑り止めシートの三重構造、気軽に洗濯できて乾きやすく滑らない。完璧です。
今はこんな感じにボロボロになってしまったので、別生地を重ねて繕い中です。

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サンプルケースに話を戻します。
探しながら使っていた間に合わせが間に合わなくなってきたので、これも作るしかない。
家中をうろうろ物色して比較的しっかりした作りの紙箱を見つけ、これを解体して布貼りすることに。
厚紙で別に蓋部分を作り、地味めな布を貼っては乾かし、また貼っては乾かしして完成です。
カルトナージュには木工用ボンド(黄色と赤のアレ)とでんぷんのり(黄色と赤のアレ)を混ぜて使うといいらしいですよ。
勉強になりました。

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乾かすときに洗濯ばさみを使ったら跡が残ってしまいましたが、まあいいか。

 

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中はこんな感じ。
クッションと仕切りはおいおい考えようと思います。

何が入っていた箱だったのかさっぱり思い出せませんが、とっておいた自分、偉い。

Q&Aのような

先月末の受注販売会はたくさんの方に足を運んでいただき、無事終えることができました。
本当にありがとうございました。
会期中、アクセサリーについてはもちろんですが、それ以外にも多くのご質問をいただいたので、この場でいくつかお答えしたいと思います。

まず、「tagotto」という屋号について。
ブログの一番最初に書いたつもりでいましたが、読み返したら全然書いていませんでした。

無題
かれこれ5年以上前、手仕事関係で屋号を持ちたいと思い、考えた末に決めたのが「tagotto」でした。
以下、辞書からの引用です。

た-ごっと【手事】(名)①手先を動かしおこなうことの総称。また、その成果。主に特別な技術、設備を必要としないものを指す。たごと。②《間奏を意味する手事(てごと)の変化》息抜き、気分転換。

脳内辞書にしか載っていませんが、「特別ではない日のために楽しみながら手を動かす」という活動テーマをtagottoという架空の言葉に込めています。

 

次に、看板代わりに会場に持ち込んでいた「手」について。

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この素敵な一枚は渡邊加奈子氏の作品、その名も「Hand」です。
温度、湿度、匂い、そして記憶を纏う彼女の木版画が好きで、tagottoのロゴも彼女に作ってもらいました(今思うと、よくそんな横着を…と青くなりますが)。

いつかのどこかでこの小さな手を持っていた彼/彼女が、のちにその手で為したこと、為せなかったことについて想像すると、背筋が少し伸びます。
看板というよりもお守りのような、同時に警策(座禅のときのアレです)のようなものです。

 

そして最後、受注時に個人情報を書いていただくためのペンを立てていた糸巻きについて。

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趣味で糸を紡いでいるので、うちにはやたら糸巻きがあります。
実家がむかしむかし繊維工場をやっていたので親にもらったものもありますが、このふたつはかつて西荻にあった家具屋さんで買いました。
糸巻きとしては重いので、普段は工具を挿しています。
以上、特に伝えるべき情報はないのですが、「それは買えませんか?」と何度も言われてちょっとシュンとしたので、もう販売会には持っていかないと決めました。

 

でも、なんというか、木と金属の組み合わせっていいですよね。

アシンメトリーの憂鬱

tagottoではほとんどのイヤーアクセサリーを片耳ずつ販売しています。
お手持ちのアクセサリーに合わせてご利用いただければ、色合わせや形違いでも楽しんでいただければ、と思っています。

というのは今考えた理由で、本当は、私が両耳に同じピアスを付けられない。
なぜなら耳の位置が左右対称ではないからです。

昔はその事実にまったく気づいていませんでした。
小三の頃からメガネをかけているのですが、メガネが斜めになるのはメガネが斜めだからだと思っていたのです。

余談ですが、当時クラスにメガネの同級生はいなかったので、初めてメガネをかけて登校した日、それに関して言われそうなことはすべて言われました。

メガネザルとか。
アラレちゃんとか。
斉藤ゆう子とか。

あ、知ってます?斉藤ゆう子さん。
ヒントでピントですよ。
メガネの女性タレントなんて他にもたくさんいただろうに、とっさに「斉藤ゆう子みたい」と言った同級生のセンスに脱帽です。

まあ、どうでもいいですけど。

閑話休題。

ピアスをするようになって初めて、ずれているのは耳のほうなのだと知りました。
ナチュラルボーンアシンメトリーなのだと。
両耳に同じピアスをつけて鏡を見ると不安定な気持ちになるので、自覚してからは片耳のみに装着することが多くなりました。
片耳だけなら買うのにな、と購入を諦めたこともありました。
しょうがない、ナチュラルボーンアシンメトリーだからと(気に入ったので2回言う)。

そんな当時の自分のためにも、片耳ずつの販売にはこだわっていきたいのです。

 

 

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こっそりと告知します。

今週末、3月24日から26日まで、ケーキとコーヒーの美味しい場所でtagottoの受注販売会をさせていただきます。
このブログを単独でご覧いただいている、かつ関東近郊の方がもしもいらっしゃいましたら、以下より詳細をご覧いただき、足を運んでいただければ嬉しいです。

https://www.facebook.com/tagotto/

あえて言うなら愛情です

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大学で知り合った友人は、当時からべらぼうに料理が上手だった。
ときどき部屋でご馳走になったが、料理中、火の通り具合や塩加減は匂いでわかると言っていた。
その頃の私はというと、久々に米櫃(にしていた煎餅缶)を開けると無数の羽虫が飛び立ったり、久々に炊飯器を開けると腐海が誕生していたり。
そんなありさまだったので、素直に感服しながらも「毎日やってれば、私にもわかるのかな」とぼんやり思っていた。

いやいや。
そんなわけがあるかと。

匂いですよ?
火の通りはまだしも塩加減ですよ?
邪悪な何かに魂を売るとかしないと無理無理、私の場合。
毎日料理をするようになって一ヶ月ほどで、早々に諦めがついたように思います。

揚げ物はできるだけやりたくないし味の決定もその辺にいる人に任せたい。
鍋やフライパンを前にどことなく卑屈なこころもちで中の様子をうかがう一方、千切りとかみじん切りとか、皮剥き、筋取り、その手の作業は大好きでした。元来単純作業向きなのでしょうね。

なめろう、つみれ、鶏団子。
好きな作業目白押しのトップ3です。
つみれと鶏団子、あとは誰か茹でてください。

いつだったかその友人が我が家でご飯を食べながら、「下ごしらえが丁寧で美味しい」と褒めてくれたことがあって、なんだかすごく嬉しかったです。

料理は匂いと下ごしらえが大事、ということではなく、「ああ、魂売らなくてよかった」という話でした。

 

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包丁にくっついたネギの形から生まれた“KOGUCHI”。