「どうせ転ぶ」という前提が救うもの

小さいころ、新しいノートを買ってもらうと嬉しすぎて緊張し、なかなか使い始めることができませんでした。
肩に力が入っているものだから、いざペンを執ると自分の名前ですら間違えたり、なんかちょっと歪んだり。
そしたらもう辛くて、一転して見るのも嫌になってしまう。
子どもながら、このまま大きくなったら大変だぞ、と思ったかどうかは覚えていませんが、悲しいかな今でも新しいものが少し苦手です。

でも、そうそう緊張していられない。
いつからか開き直ったことで、ものとの付き合いがずいぶん変わりました。
そう。直せばいい。

ちょっとセンシティブぶって書きましたが、要は昔から落ち着きがないのです。
字は間違う。物は壊す。服は汚す。歩けば転び、走ればぶつかる。
注意力や空間把握能力を鍛えるよりは、直す方法を模索するほうが気が楽でした。
転ばぬ先の杖はたとえ電車に置き忘れても、転んだ先にはマットがあることを知っている安心感。
直すのが楽しくなってくれば、もう怖いものはありません。

もし似たような方がいらっしゃれば——きっとたくさんいらっしゃると思うのですが——、心の底からおすすめします。
直せばいいのです。

 

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取れなかった染みを水玉で隠すの巻。

てぶクロニクル

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高校生のころ、Oliveに載っていたミトンが可愛かったので真似て編んで親指で挫折したと思われる、残骸(左手のみ)。
今年のお正月に実家で見つけました。
もう名前もわからないこの糸、可愛かったけれどその後見かけたことがないので廃番なのでしょう。
残念至極。

 

 

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6年前に夫に編んだ手袋。
THEシンプル。
たた&たた夫さんで2本の輪針を使う編み方を知り、初実践したもの。
装着したままスマートフォンが操作できるよう、後日指先を加工しました。

 

 

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一昨年春、友人の依頼で。
色、デザインを指定してもらい、楽しく編みました。
このとき「爪は蛍光の黄色で」と言われてネオンカラー毛糸の種類、発色を調べに調べた経験が、その後とても役に立ちました。

 

 

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去年自分用にかぎ針で編んだもの。
数年来の個人的ブームだった引き上げ編みをふんだんに使った、というかオール引き上げ編みの手袋。
精度はともかくスマホも反応してくれる仕様で、ピースはできないけれどオーケーはできる。
気に入っています。

 

とりあえず、手元に画像があるものは以上。

どれもまったく違うようで、すべてがちゃんと最後のひとつに繋がっていて興味深いです。

家内制…?

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帰省中に作業していたら、父がパイプを加工して芯を作ってくれました。
いつも使っている柔らかい素材とはまた違う、手応えのある芯。
サンプルでイヤリングを作ってそばで見ていた母にプレゼントすると、いそいそと鏡の前へ。

いくつになっても女性は女性。
可愛らしいな、私もこうありたいな、と思いました。

喜んでもらえたようで何よりです。

 

で、先日。
父から大量の芯が届いたので、これからひとつひとつバリ取りをして、磨きます。
この作業の楽しさも、パイプ芯のいいところ。

 

2017-01-12 13.19

ボーリングはガター

以前CINQさんで購入したSolwangのディッシュクロスがあまりにふかふか気持ちがいいので、思い立って自分でも編んでみました。

ガーター編みです。
小学生のころ、母に教わりながら初めて編んだのがガーター編みのマフラーでした。
ほぼそれ以来の、ガーター編みです。

ずっと手を出さなかった理由は、件のマフラーがひどい出来だったのと、(おそらくそのせいで)編み地にも野暮ったいイメージがあったから。
でも今回、目の詰まったガーターのテクスチャーに感銘を受け、数十年ぶりのチャレンジです。

しかし難しい。どうしても目が緩む、揃わない。
使用糸のGIZA70(対応棒針6~8号)に対し、5号でスワッチを編み始めてみたものの何度も何度もやり直し、最終的には2号で、それもかなり糸を引き気味に編み進むことに。
ここまで半月くらいかかりました。
さらに段数の割に増えていかない編み上がり面積と、表も裏もない苦行のような退屈さ。
このまま編み棒を抜いて雑巾にして捨ててしまいたいムシャクシャ感と闘いながら、トータルひと月以上かけてようやく編み終わりました。

 

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画像の右がSolwang、左が私が編んだもの。
まあ、そこそこな感じに見えますが、編み地を真上から撮ると違いは一目瞭然、がっちゃがちゃです。

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奥が深いな、ガーター編み。
そもそも糸が太かったかな。
次はもう少し細い糸で編もう。
グレーで鹿の子とかもいいな。

編み終えて早くもそう思い始めているのですが、次を編む未来の私に先に言っておこう。

 

きっと後悔するよ。

小さなポッケにいれておくもの

買ったホースが蛇口に合わなかった。きっかけはそれだけのことでした。

専用のコネクターを買い足そうか迷っていたら、そもそものホースを買った理由、であるところの問題点が別方向から解決したため、使えないホースだけが残ってしまった。
無用の長物になるならばと切り刻み、何となく糸を巻いてみた。で、何となくそれをピアスにしてみた。

これが、アクセサリーを作り始めた最初の最初。
ピアスなんて冠婚葬祭でしか着けなくなって久しかったのに、不思議なものです。

 

作ったものを見せながら友人に話を聞いてみると、彼女たちのピアス事情はさまざまでした。

ホールはあるけれど、アレルギーでピアスができない。
ホールはあけたけれど、ピアスをしなくなって閉じてしまった。
ホールをあけるきっかけを、何だかんだで逃してしまった。
ホールをあけるのが嫌でイヤリングをしているけれど、耳や頭が痛くなる。
そもそも似合うイヤーアクセサリーがない。

なるほど、なるほど。
アレルギーは辛いね。金属素材はなるべく吟味しよう。
ピアス派とイヤリング派は大体半々くらいかな。イヤリングも作ろう。
痛いのは金具のせい?重さもかな?
似合うもの、意地でも作ってみよう。

あれこれ考えたり調べたり、そうして作ったものをまた試してもらったり。
あの頃は彼女たちの笑顔しか頭にありませんでした。

 

ある日、言われた言葉で腑に落ちた気がしました。
「母がね、『10代20代にはナチュラルにあった顔の”華”はだんだんなくなってくるから、耳に大振りな、カラフルなものを持ってくるといい』って言ってた。」

かつて好んで着けていたシンプルなピアスを使わなくなった理由も、
輪切りにしたホースでピアスを作った理由も、
そして「こんなの似合わないと自分では思ってたけど意外と似合う!」を友人たちと共有したかった理由も。

 

 

齢を重ねるということは、顔に華がなくなるということかもしれないけれど、華やかなものが似合うようになる、ということでもあると知ること。
それはとても小さくて、ジーンズのいちばん小さなポッケに入るようなことだけれど、やっぱり少し嬉しい。

そんなものを作っていきたいと思ったのでした。

 

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去年の春、最初に作った私用ピアス。

今見るといろいろ雑でびっくりするけれど、愛用しています。